即戦力を確保しやすい採用活動として近年注目されている「アルムナイ採用」について、ご存じですか?
今回は、「アルムナイ採用」のメリット・デメリットや似た採用方法との違い、活用方法についてご紹介していきます!
↓動画でも解説しています!↓
目次
アルムナイ採用とは
「アルムナイ」とは、元は「卒業生、同窓生」という意味の言葉であり、企業においては「自社の退職者」のことを指します。そのため、「アルムナイ採用」とは、一度退職した自社社員を再度採用する採用手法です。
アルムナイ採用を積極的に導入するため、アルムナイ(退職者)専用のネットワークを構築するなど、アルムナイ採用に関する取り組みを「アルムナイ制度」として制度化している企業もあるようです。
アルムナイ採用 事例
- 元店長が、独立起業して成功した後に再雇用され、新規店舗の開発に携わる
- 元マーケティング担当者が、ベンチャー企業で実績を挙げた後に再雇用され、海外展開に関するプロジェクトを担当
ジョブリターン制度との違い
元社員を再雇用する制度として、「出戻り制度」や「再雇用制度」、「ジョブリターン制度」といった制度が以前から存在しています。これらの制度とアルムナイ採用の違いは、自発的な退職であったか否かという点にあります。
ジョブリターン制度は、出産・育児や介護といったやむを得ない事情によって退職した人が職場に復帰できる環境を整える制度です。
これに対してアルムナイ採用は、他社への転職や起業など、自発的に退職した人を再雇用する手法です。そのため、アルムナイ採用の場合は、退職後もビジネスシーンで活躍していた人材を再雇用できる可能性が高く、即戦力を確保しやすいという特徴があります。
アルムナイ採用 | ジョブ・リターン制度 |
・転職や起業など、自発的に退職した人を再雇用する ・自社退職後も働いていた人材 | ・出産、育児、介護といったやむを得ない事情によって退職した人が復職できる環境を整える ・自社退職後は働いていない人材 |
アルムナイ採用のメリット
メリット①採用コストが抑えられる
アルムナイ採用の場合、求人サイトへの掲載やエージェントの利用が必要ないため、大幅にコストを抑えることができます。また、場合によっては企業説明会や選考過程を省いたり、短縮したりすることも可能です。さらに、自社での就労経験のある人材を採用するため、研修・育成にかかるコストも削減できます。
メリット②即戦力を確保できる
採用の対象が就労経験がある人材のため、自社の理念や業務内容、事業などを把握・理解していることが多いです。また、他社で新たな知識やスキルを得ている可能性もあるため、即戦力となることが期待できます。企業理解が進んでいることから、ミスマッチが起こりにくく、早期離職のリスクも軽減できます。
メリット③自社のイメージアップにつながる
アルムナイ採用による人材の確保は、「一度退職した人がまた働きたいと思える企業」であるということの証明になります。社内外の両方に対して良いイメージを与えることができ、在籍社員の自社に対する信頼度を高められます。
また、一度別の場所で働いた人材を採用することにより、新たな知見や視点が持ち込まれるなど、組織の活性化が期待できます。
アルムナイ採用のデメリット
デメリット①在籍社員への配慮が必要
アルムナイ採用を行うことにより、在籍社員に「退職してもまた戻ってこれる」という認識が広まり、退職のハードルを下げる可能性があります。
また、入社後のポジションや給与など、アルムナイに対する復職後の待遇によっては在籍社員の反感を買う可能性もあります。
採用基準(応募条件、応募方法など)や待遇(給与、役職など)を明確化し、在籍社員への説明を行うことで、自社のアルムナイ採用・制度について充分に理解してもらう必要があります。
デメリット②情報漏洩のリスクがある
アルムナイは元社員であるとはいえ、再雇用していなければ社外の人間です。たとえアルムナイ採用を進めている最中であっても、雇用契約を締結していない相手に対して「来年からこんなサービスを始めることになっていて…」などと、社外秘の情報を流してしまわないよう、情報開示や管理方法などのリスク管理を徹底することが重要です。
アルムナイ採用を成功させるポイント
ポイント①イグジットマネジメントに注力する
イグジットマネジメントとは「雇用の出口管理」のことを言い、社内の新陳代謝を促すために社員の退職や契約解消をコントロールすること、退職する社員と円満な関係を構築することを指します。
アルムナイ採用を行うためには、そもそも「円満退職」が前提であり、退職後も関係を築くことが必要です。具体的には、転職支援や独立支援、退職時面談の実施、個人の状況に合わせた離職を提案するなど、退職時や退職後のサポートに力を入れてみましょう。
ポイント②退職者と良い関係を保つ
先にも述べた通り、アルムナイ採用を行うためには退職後も良い関係を保つことが重要です。そのため、退職者も参加できる交流会(懇親会、勉強会など)を開催する、アルムナイネットワーク(退職者を含めた社内ネットワークのこと。SNS、メルマガ配信などで情報交換や近況報告を行える)を設けるなどして、退職後も定期的にコミュニケーションを取り、関係を保てるよう努めましょう。
事例
- 退職者に「バーチャル社員証」を発行する(希望制)。退職後も、社内割引の適用、社内イベントへ参加ができる。
- 退職者向けサイトを構築。アルムナイ制度や社内イベントの案内、社員ブログの閲覧ができる。
ポイント③受け入れ体制を整える
人事・賃金制度面の体制を整えることはもちろん、在籍社員に、アルムナイ採用を導入する意義を周知し、理解してもらうことも重要です。
再雇用にあたりライフステージの変化などでフルタイム勤務が難しい場合は、時短勤務、アルバイト・パート雇用、業務委託、リモートワークなど、柔軟な働き方を選択できる環境を用意しておく方法もあります。
多様な価値観を持った人材や他社の文化を培った人材を受け入れる姿勢・風土を作り、社内全体で多様性を受け入れることでアルムナイ採用を進められるでしょう。
まとめ
今回は、退職した社員を再雇用する「アルムナイ採用」についてご紹介しました。アルムナイ採用は、成功すれば即戦力を確保することができるのみではなく、社内外に対して自社の魅力を伝えることができる採用手法です。ぜひこの機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか?