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職場の心理的安全性を高める方法とは?メリットと具体的な方法4つを解説

【記事最新更新日:2024年8月5日】

この記事では、「心理的安全性」とは何か、また、心理的安全性の高い職場を作るメリットと方法について、詳しく解説していきます。心理的安全性は、職場のやる気や業績アップに非常に効果的な要素と言われています。

職場内の人間関係や、仕事に対する意識を改善したい管理職の方は、ぜひ参考にしてくださいね。

動画でも解説しています!↓

心理的安全性とは


心理的安全性とは

心理的安全性とは、「集団の中で対人する際、自分の意見や気持ちを安心して発言できる状態」のことを指しています。この言葉は1999年、アメリカハーバード大学の組織行動学者、エイミー・エドモンソンが提唱したことで生まれました。

2015年には、Google社が「心理的安全性は、チームの生産性及びパフォーマンスを高めるために最も重要な要素」と発表したことで、心理的安全性の認識は世界中に広がりました。

「心理的安全性の高い職場」とは

エドモンソンが提唱した「心理的安全性の高い職場」には、具体的に以下のような特徴があります。

  • メンバーが自分の意見やアイデア、問題提起などを自由に発言や表現ができる
  • 失敗やリスクを恐れることなく、チームや組織全体の目標達成に向けて積極的に行動できる

心理的安全性が高まると、メンバーが率先してチャレンジし、失敗を恐れずにリスクを取り、新しいアイデアを生み出すことができるようになります。逆に心理的安全性が低いと、メンバーは”自己保身”に走り、アイデアを言い合うことができず、問題解決のための意見交換をしなくなります。

心理的安全性を高めることで、組織はより成果を出せるようになり、チームメンバーも成長することができるのです。

「ぬるま湯組織」とは

「ぬるま湯組織」とは、新しいアイデアの採用・変化するための挑戦を避ける組織です。既存の慣習・ルールが優位にあり同調圧力が強く、反対意見を出せば叱責されるなど、新しい考えを持つ社員を淘汰しようとする傾向にあります。

自分の意見や考えを否定され続けた社員は、相談することに不安を感じるようになるため、ストレスが増してメンタルヘルスの不調に陥りやすくなってしまいます。また、優秀な人材であれば、自分の成長を望んで、離職する可能性も高いでしょう。

そのほか、ぬるま湯組織は、新しい意見・アイデアを取り入れないことから、新しい事業を起こさず、組織の仕組み改革を行わない傾向にあります。そのため、時代の流れや変化が大きい場合に、変化に対応しきれず倒産するなどの危険性もはらんでいます。

職場の心理的安全性を高めるメリット4つ


心理的安全性 職場 メリット

ここでは、職場の心理的安全性を高めることで得られるメリットを4つ紹介します。チームを管理している方は、職場の心理的安全性を高めることでどのような変化があるのか学び、職場を社員にとって心地よい場所に変えていきましょう。

具体的に、以下のようなメリットがあります。

①社員のパフォーマンスが上がる
②チームワークが向上する
③心身の健康(メンタルヘルス)につながる
④社員の定着率が上がる

この4つのメリットは、以下の図にも記載しましたが、チームのみにとどまらず、会社にもメリットを発生しやすい状況を生み出します。

心理的安全性の確率 メリット
心理的安全性が高い職場に起こる、様々なメリット

上記の図も参考にしながら、チームに発生する4つのメリットを見ていきましょう。

①社員のパフォーマンスが上がる

心理的安全性が高い職場では、社員がフロー状態になり、仕事のパフォーマンスが向上します。フロー(flow)状態とは、心理学で「夢中になっている/集中している」精神状態のことを指しており、このフロー状態にある時間が15~20%増えると、生産性が2倍になると言われています。

また、心理的安全性が高まることで、メンバーの意見やアイデアが自由に出るようになり、視点や視野が広がって創造性やイノベーションが生まれやすくなります。社員が安心して働ける場所を作ることで、会社全体の活気UPに繋げましょう。

②チームワークが向上する

心理的安全性の高い職場では、メンバー同士が安心して意見を言い合えるため、メンバー同士の信頼関係が深まりチームワークが向上します。また、社員の会社に対する警戒心がなくなると、新しい事業や、社内の仕組みづくりに関する意見が出てくることも期待できます。

社員にとって居心地の良い場所とは、自己表現がしやすく、他の社員とのコミュニケーションに抵抗感がない、安心感のある職場です。社内の結束感が自然と強くなるため、職場での発言に対する肯定感をチーム全体で上げていくと、業績アップに効果的でしょう。

③心身の健康(メンタルヘルス)につながる

メンバーが自分自身を偽りなく表現できる職場は、心理的安全性が高くなり、ストレスを抱える社員が少なくなります。また、心身の健康(メンタルヘルス)を維持できるかどうかは、職場のやる気にも繋がります。不安や孤独感を感じず、常に寄り添い合える上司や仲間が周りにいることで、社員は安心して健康的に仕事に取り組むことができるのです。

④社員の定着率が上がる

職場の心理的安全性が高まると、社員は安心して働ける職場にエンゲージ(会社に対する愛着)を持ち、勤続したいという意欲が湧いてきます。社員の定着率を上げたい場合、まず職場やチームの心理的安全性を高めるのがおすすめです。

また、心理的安全性により社員の定着率が上がると、社内の雰囲気も良好になり、新しく入ってくる社員への印象も良くなるでしょう。特に、やる気のある求職者には、やりたいことに挑戦しやすい職場として映るため、会社にとって戦力になる人材を得る可能性が高まります。

職場の心理的安全性を高めるリーダーの行動4つ


心理的安全性 職場 作り方

ここでは、職場の心理的安全性を高めるために、チームのリーダーやマネージャーが社員に対して取るべき具体的な方法を4つ解説していきます。社員同士のコミュニケーションがぎこちなかったり、職場の雰囲気を暗く感じたりしている管理職の方は、ぜひ参考にしてみてください!

①オープンなコミュニケーションを促す
②失敗を許容する文化を作る
③個人の尊重を示す
④共感を示す

①オープンなコミュニケーションを促す

心理的安全性を高めるためには、まずコミュニケーションを取りやすいリーダーでいることを心がけましょう。

具体的に、リーダー職の方は、以下のような行動を取るのが効果的です。

  • リーダー自身が、普段から時間に余裕のある仕事の仕方をすること
  • リーダーから社員に対してコミュニケーションを積極的に取りにいく
  • 社員がリーダーに対して質問したりフィードバックをしたりする機会を設ける

社員・リーダーのオープンな関係を築いていくためには、社員とリーダーの間にある心の壁をなくしていくための行動が求められます。社員は上司に対して、遠慮の気持ちが生じやすいものです。まずはリーダーが、他の社員から話しかけやすい雰囲気を出せるよう、普段から自分の時間・仕事に余裕を持ちましょう。

②失敗を許容する文化を作る

社員が失敗したとき、リーダーは失敗したことが問題なのではなく、失敗する「仕組み」に問題があることにフォーカスしてフィードバックすることが重要です。失敗をその社員個人の問題として捉えて責めてしまうと、社員は人格を否定されたように感じてしまい、失敗を恐れて萎縮し、職場全体の心理的安全性も低くなる恐れがあります。

チーム全体で安心して仕事できるようになるためには、「失敗は仕組みを改善することで回避していける」という認識をリーダーが社員に伝えていくことです。そのために必要な話し合いや仕組みづくりを積極的におこなっていくことで、より心理的安全性の高い職場づくりに繋がっていくでしょう。

③個人の尊重を示す

リーダーは、社員一人一人を「個人」として尊重していることを、行動で示しましょう

具体的には、以下のようなアプローチがおすすめです。

  • 社員の役職や働き方・雇用形態に関わらず、社員個々の意見やアイデアを真摯に受け止める
  • 役職に関わらず、相手を尊重する態度・言葉で接する
  • 意見・アイデアの採用基準を、社内で明確にする

安心して意見を出し合える関係は、職場の心理的安全性を高め、チームと会社全体の発展に繋がります。上下関係をなくすということではなく、各自の役職を明確にしたうえで、「意見を言い合う際に、役職を気にせず率直な意見を発する自由」を設けることが重要です。

④共感を示す 

リーダーは社員の気持ちに対して、まず共感を示し、認めるようにしましょう。心理的安全性を高めるうえで、共感・認識は第一優先事項です。例え社員の意思が社風・規律に沿わないものであっても、まずはそういう意見や考え方があることを認めて、そのうえでどうするのか、具体的な解決策を話し合うことが必要となります。

以下の表に、具体的なシチュエーションと、シチュエーションに合わせた共感の言葉・行動を紹介しています。いずれも重要なのは「感情的にならず、社員と肯定的な態度で接する」という点です。一つ一つ見ていきましょう。

シチュエーション共感の言葉、またはリーダーの行動
社員に不明点を質問された場合●リーダーの行動
・肯定的な態度で回答する
・質問された内容を調べる方法やマニュアルがあれば、回答とあわせて伝える
社員が意見を発したとき●共感の言葉
・「なるほど」「〇〇のように考えているんですね」

●リーダーの行動
・上記のように、まずは社員のセリフを咀嚼し、認識する
・疑問点があれば、「私はその意見についてこう思うが、その点はどう考えていますか?」と社員の考えを更にヒアリングしていく
社員がミスやトラブルを起こしたとき●共感の言葉
・ミスやトラブルを報告してきた社員に状況を確認するセリフ:「わかりました」「ではこうしましょう」
・リーダーが社員のミスを発見した場合:「こんなミスがありました」「次からこうしましょう(どうするか一緒に考えましょう)」

●リーダーの行動
・ミスやトラブルが発生した事実をただ認める姿勢を社員に示し、次回以降の対策を話し合う
社員がミスや疑問点を隠していたことがわかったとき●共感の言葉
・「わかりました」
・「次からはすぐに相談して下さい」「大丈夫ですよ」「安心して相談して下さい」

●リーダーの行動
・まずは隠し事をしていた事実を認識する
・次から隠し事をせず、安心して声をかけて欲しい旨を伝える

ほとんどの場合、人は「よかれ」と思って発言し行動を起こします。ですが心理的安全性が低い職場の場合、発言次第で社員同士がぶつかったり、意見を言いづらい社員が出たりする恐れがあります。

そのため、まずはリーダーが感情的にならず、以下の行動を取ることで、自分自身の心理的安全性を確立していくとよいでしょう。

●共感を示すリーダーの基本行動

  1. 自分自身が気に食わなかったり、理解できない発言・言動だったとしても、一度立ち止まってみる
  2. 「なぜこの社員は、この発言・行動をしたんだろう?」と考える
  3. 相手の発言・行動の意図を受け止め、相手を承認する

否定から入ってしまうと、社員は自分の考えを出すことに怯えるようになり、どんどん萎縮してしまう恐れがあります。社員が素直に自己表現しながら業務に携われるように、まずはリーダーが社員に寄り添う姿勢を見せることで、職場の心理的安全性UPに繋げましょう。

まとめ


今回は、心理的安全性について解説してきました。

心理的安全性の高い職場では、社員同士のコミュニケーションが活発に行われ、新しいアイデアや事業が発せられやすい環境が整っています。また、社員一人一人のメンタルヘルスも良好なため、社員に活気があり、向上心の高い職場になりやすいのが特徴です。

職場の心理的安全性を高めるメリットは、以下の4つです。

●職場の心理的安全性を高めるメリット

①社員のパフォーマンスが上がる
②チームワークが向上する
③心身の健康(メンタルヘルス)につながる
④社員の定着率が上がる

これら心理的安全性によるメリットを得るために、リーダー職の方は以下の行動を取ってみましょう。

●職場の心理的安全性を高めるリーダーの行動4つ

①オープンなコミュニケーションを促す
②失敗を許容する文化を作る
③個人の尊重を示す
④共感を示す

上記4つの行動に共通しているポイントは、「相手の存在そのものを承認し、受け止める意識」です。

性悪説ではなく性善説で物事を捉えること、感情を入れず、状況を論理的に分析することが重要です。社員とぶつかりそうなときには、上記の対処を繰り返して社員同士がコミュニケーションしやすい環境を整え、心理的安全性の高い職場にしていきましょう。

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